図❶ 聖書には“泣きわめいて歯ぎしりするだろう”と記されている ブラキシズムは、聖書にも記載されている、古代ギリシャ語の歯ぎしり「βρυγμός (brygmós)」を語源としており、古からその行動は知られている(図1)。歯ぎしりや嚙みしめは、睡眠時だけではなく、覚醒時にも行っており、意識の有無を始めとして発現のメカニズムが異なっているため、睡眠時ブラキシズム/覚醒時ブラキシズムと分けて用語が使用されている。この用語に関して、睡眠医療(医科)の領域では睡眠に関連した疾患として“睡眠関連ブラキシズム”という用語が使用されているし1、2)、わが国では保険病名として、“歯ぎしり”が採用されており、食いしばりを含めた広義の意味で採用されている3)。国内外に限らず、歯科では“睡眠時ブラキシズム”の使用が最も普及しているため、本増刊号では睡眠時ブラキシズム(Sleep bruxism:以下、SB)として進めていく。 SBは障害名(病名)あるいは現象名として使用されている。2014年に米国睡眠学会(American Academy of Sleep Medicine:AASM)が発刊した睡眠障害国際分類第3版(ICSD-3)4)において、SBは『睡眠関連運動障害』に分類され、「ブラキシズムは食いしばり(クレンチング)や歯ぎしり(グラインディング)あるいは下顎の強張り(ブレイシング)や突き出し(スラスティング)を特徴とする反復性の顎筋活動である。2つの異なる概日現象(睡眠時ブラキシズムと覚醒時ブラキシズム)に分けられる」と定義されていた。 2024年に発刊された改訂版(ICSD-3-TR)2)ではブレイシングやスラスティングについては削除されている。歯科においては国際歯科研究学会(International Association for Dental Research; IADR)内のInternational Network for Orofacial Pain and Related Disorders Methodology(以下、INfORM)がブラキシズムに関する国際的なコンセンサスを検討し、提案している。2025年には、「リズム性(相動性)または非リズム性(持続性)に特徴づけられた睡眠中の咀嚼筋活動のことであり、運動障害でも睡眠障害でもないもの」という定義を提唱している5)。 日本睡眠歯科学会でも、「睡眠時ブラキシズムは顎口腔系に為害作用を及ぼす、睡眠中の持続的な、あるいはリズム性の咀嚼筋活動による顎運動(クレンチング、グラインディング等)。RMMA10睡眠時ブラキシズムの定義鈴木善貴Yoshitaka SUZUKI徳島大学大学院 医歯薬学研究部 顎機能咬合再建学分野吉原靖智Yasutomo YOSHIHARA徳島大学大学院 医歯薬学研究部 顎機能咬合再建学分野渡邊亮友Akitomo WATANABE徳島大学大学院 医歯薬学研究部 顎機能咬合再建学分野/徳島県・いしかわ歯科医院第1章 睡眠時ブラキシズムとは1睡眠時ブラキシズムの定義と 捉え方のアップデート
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