1. 睡眠時ブラキシズムの定義と捉え方のアップデート(律動性咀嚼筋活動)の頻度によって診断される。(ブラキシズムは広義の歯ぎしりと訳されている)」と定義されている3)。このように、SBは障害(病気)であるのか現象であるのかは統一されていない。この用語の混乱を避けるために、現象名としてSBエピソード(SBイベント)、あるいは筋電図波形を基にしたSBに特有の律動性咀嚼筋活動(Rhythmic masticatory muscle activity:以下、RMMA)6)が国内外でよく用いられている。 歯ぎしりや食いしばりといったSBエピソードは健常者でも認められるため、単なる運動行動としてのNormo-bruxism(正常なブラキシズム)と症状を惹起するほど過剰な状態であるPatho-bruxism(病的なブラキシズム)という分類も提案されている7)。 SBでは過剰な頻度のあるいは過大な咬合力が負荷され、歯列、歯周組織、顎骨、顎関節などにさまざまな為害作用を及ぼすため、SBはパラファンクションであると考えられてきた。しかし、近年INfORMではSBエピソードは健常者においても認められるものであるため、障害ではなく、運動行動であると提唱されている5,8)。すなわち、SBは運動障害でも睡眠障害でもなく、単なる顎運動であり、咬耗や顎関節症など多因子で生じる顎口腔系の障害(Negative health outcome)のリスクファクターのただ1つであるということである。 また、SBは原因不明な一次性(特発性)と二次性(続発性)に分けられており、前者は中枢神経活動と交感神経活動に伴って生じ、後者は胃食道逆流症や睡眠時無呼吸、不眠症などの関与が考えられている9)。たとえば、胃食道逆流症であれば、SBエピソードによって、唾液腺が刺激され、唾液分泌あるいは拡散を行い、逆流してくる胃酸を緩衝させる機能的な役割(Positive health outcome)があるかもしれないと考えられている10)。 以上のことから、SBは顎口腔系には為害作用を及ぼすものの、生体を防御するような合目的的な機能的運動である可能性があるため、SBは障害ではなく運動行動であると提唱されるようになってきている。ただし、SBが障害ではないという確実なエビデンスはまだない。11睡眠時ブラキシズムはパラファンクション(異常機能/非目的な活動)なのか?睡眠時ブラキシズムの評価と管理 前述したように、SBが障害なのか、運動行動なのかはいまだ議論中であるが、どちらにせよSBを客観評価し、顎口腔機能障害へのリスクを把握しておくべきであることには変わりない。そのうえで、障害であるならば、客観評価に基づき診断を行う必要がある。 評価に関しては、筋電図を用いる方法、臨床徴候を用いる方法、アンケート・問診を用いる方法などがあり、以前はそれぞれに対してDefinite(確実/確定的)、Probable(可能性の高い/推定的)、Possible(可能性のある/疑いのある)な診断法とグレードがつけられていた8,11)が、最近はそのグレードを廃止して、Device-based(装置に基づいた)、Clinically-based(臨床に基づいた)、Subject-based(対象者に基づいた)の診断法に分類することが提案されている5)(図2)。 わが国においては、日常歯科臨床でSBの定量的な客観評価を行うために、ウェアラブル筋電計を用いて、リズム性/間欠性(Phasic)または非リズム性/持続性(Tonic)の咀嚼筋活動を判定・分類でき、RMMA の回数や筋活動量を算出することによってSBを診断できる12)。このRMMAの測定は2020年に睡眠時歯科筋電図検査として歯科保険収載された。 ただ、SBの評価はその有無や重症度を把握するだけではなく、SBの全身的な役割や全身状態とのかかわりも評価・スクリーニングする必要がある。これに関して、ブラキシズムの評価のための標準ツール(Standardised Tool for the
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