睡眠時ブラキシズム(Sleep bruxism:以下、SB)の評価は問診、質問票、口腔内所見、臨床所見といった主観的評価が用いられ、これらの結果を基に診断を行う傾向が認められる。研究レベルでは、睡眠ポリグラフ検査(Polysomnography:以下、PSG)を用いた研究、ウェアラブル筋電計を用いた研究によって睡眠中の咀嚼筋筋活動を可視化することが可能となり、SBの客観的評価が可能となった。「睡眠中に歯ぎしりを指摘されたことがありますか?」というあきらかにSBが観察される質問は精度の高い質問事項となっている一方、問診、質問票を用いたSBの診断はSBの客観的評価の発展によって、診断精度が高くないことがあきらかとなった。 また、口腔内所見、臨床所見についても問診、質問票と同様にSBの診断精度が高くないことがあきらかとなった。並行してSBが顎口腔領域へ及ぼす影響をSBの客観的評価を用いた評価と重ね合わせることによって検討が進められ、SBが顎口腔領域へ直接的に影響を及ぼす可能性が低いことが示唆されている。 以上の知見を基に、2013年1)、2018年2)、2025年3)とSBに関する国際的な共通認識も変遷を辿った。2025年に発表されたSBの国際的な共通認識において以下の2点が評価、診断、マネジメントを考えるうえで重要となる。78SBに対する考え方飯田 崇Takashi IIDA日本大学松戸歯学部 顎口腔機能補綴学講座小見山 道Osamu KOMIYAMA日本大学松戸歯学部 顎口腔機能補綴学講座1.SBは疾患ではなく、中枢神経系により調整される下顎運動の1つと位置づけられる。すなわち、SBは「疾患」ではなく「行動」である SBは口腔顔面痛、咬合性外傷、失活歯の歯根破折、補綴装置の破壊といった顎口腔領域に問題を引き起こす因子の1つとされている。過去の研究により蓄積された知見を基に、多くのSBは睡眠中に誰にでも発現する生理的現象である可能性が高いと考えられる。したがってすべてのSBが歯科的な問題を引き起こすわけではなく、また、すべてのSBが疾患として治療を必要とするものではないことも事実である。 一方、American Academy of Sleep Medicine(AASM)の睡眠障害国際分類第3版(International Classification of Sleep Disorders, Third Edition: ICSD-3)では、SBはあきらかな原因のない一次性(Primary, idiopathic)、医学的背景のある二次性(Secondary)、治療薬によって生じている医原性(Iatrogenic)に分類される4)。二次性SBは睡眠無呼吸症、胃食道逆流症、不安症といった疾患と関連がある可能性が認められ、歯科治療を行う際の医療面接においてこれらの疾患に関する既往歴を聴取することは有用である。医原性のSBは服用薬の長期服用が原因で生じている可能性があり、処方を行う担当医へ処方薬について医第3章 睡眠時ブラキシズムの評価・診断とマネジメント2睡眠時ブラキシズムの 評価・診断と対処の流れ
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