2026年1月谷口崇拓注 記 歯周病患者の歯を保存し、口腔機能を長期的に維持させるには適切な歯周治療を行うことは当然であるが、治療後のメインテナンスがたいへん重要である。当院では50年以上歯周治療を中心とした診療を行い、多くの患者の歯を残して口腔機能を維持してきた。 歯周治療を終え、メインテナンスに入ったら何事もなく維持されていくことが理想である。しかし、現実の臨床では、経過のなかで大小はあるもののトラブルは起こるものであり、再介入が必要になることも多くある。その際、とくに高齢者においては、口腔内の退行性変化や全身状態の変化などにより、その介入をいつ、どのように、どこまでするかの判断が非常に難しい。 本書では歯周病患者における長期的な継続管理の観点から、高齢化に伴う種々の変化をどのように捉えて、どのような補綴戦略を立てるのか、補綴後のトラブル対処法について1冊にまとめた。 広汎型歯周炎の治療症例を提示し、歯周基本治療や歯周外科、種々の補綴方法による口腔機能回復治療についてそれぞれのポイントを挙げ、論文のバックグラウンドを記載した。また、本書において最も特徴的なのは、メインテナンス時の経過のなかでのトラブル対応に焦点を当てたことである。前半では、提示した症例における経過のなかでのトラブルがわかるように記載し、後半ではそれぞれのトラブル対応をトピックごとに分けて、その治療計画や対策を示している。さらにそれぞれのトピックでは、対応の異なる症例も提示することで、より多くの症例の対応を示し、参考になるようにした。 第3章では、歯科衛生士を中心とした当院のメインテナンス体制、歯科衛生士の育成や引き継ぎの工夫などについて紹介している。 本書が、患者が長く通い続けるメインテナンス体制を目指す歯科医院の参考になれば幸甚である。 本書における「歯周組織検査表」について、読みやすさを重視し、以下のように統一して表記しております。 •3㎜以下でBOPなしは記載しない •青色の数字は動揺度を示す •存在しない歯は灰色で示す •緑色の数字は排膿を示す刊行にあたって
元のページ ../index.html#2